榎津本町筋の旧久留米藩領内に建っており、江戸時代には高札場(こうさつば*1)が設けられ、まちの中心にあったことがわかります。天保12年(1841年)に没した初代以来、「五嶋屋(ごとうや)」と称し、戦前まで荒物(生活雑貨)を取り扱っていたそう。戦後からは、障子紙や襖紙、和紙など紙専門店として、営業しています。2024年2月には屋根の修復が完了し、鬼瓦などから堂々たる歴史を偲ぶことができます。ガイド付のまち歩きツアーに参加すると、実際に使われていた大福帳や古銭の、関ヶ原の戦いを記した立派な節句幕など代々伝わる家宝を見学することもできます。
*1 高札場 江戸時代に、幕府や領主の基本的な法令を書き記した木の札(高札)を掲示した施設。村や町の中心部で、人々の目に多く触れるところに設置されました。
現在の主屋は明治16年(1883年)頃に建てられた入母屋作りの町屋となっています。平格子(ひらごうし)や、二階の窓など当初の形状を残しています。そして、なんといっても2023年〜2024年2月にかけて修復された屋根に注目です。できるだけ元にあった瓦や建築資材、資料などをみながら、福岡県久留米市の文化財などを手掛ける匠により、1枚ずつ手造りとなる瓦が鎮座しています。家を守ると言われる鬼瓦にも注目してください。