2025.07.20

【特集】藩境まつりにみる「藩境のまち」の魅力

毎年4月のゴールデンウィーク前の週の土日に開催される「藩境まつり」。
このまつりでは、「藩境のまち」の魅力、見どころが一挙に花開くように
歴史を垣間見みることができ、人々のおもてなしにふれることができます。

旧吉原家住宅で行われた「日本髪のカタチ」

歩いて20分程度のこのまちには、江戸時代に、柳河藩の小保、久留米藩の榎津の藩が隣り合い、それぞれに港や番所が置かれ、造船業や木工業に関わる人々や生活物資を商うお店などがひしめき合い、活気のあるまちでした。その当時からのお宝や文化がリアルに感じることができるのが、この「藩境まつり」。

庄分酢の住居で特別公開されていたひな人形

 

2025年4月19日(土)、20日(日)に開催された「第23回大川市 小保・榎津 藩境まつり2025」を振り返って、ポイントを紹介していきましょう。

 

 


 

(1) 日頃はみられない文化財、家屋の中に匠の技やお宝がいっぱい

藩境まつりではは、文化財や古い家屋、職人の工房などがオープンになり、昔から継承されたお宝などが展示されます。このまちがどれだけ豊かな歴史を培ってきたかを体感できるのです。

 

◯中村紙店

小保・榎津 藩境のまち保存会の中村理事長の「中村紙店」では、実際に使われていた大福帳や昔のお金、中村家6代目宇吉が誕生した大正11年(1922年)に造られた節句幕などを見ることができます。1600年の関ヶ原の戦いが10mにわたって描かれ、70名以上の武将が登場する圧巻の幕には、実際には家のまわりに巻いて展示したそう。元気に育ってほしいという親の願いがこのような立派な形で表現されています。
ガイド付ツアーで見ることができるように手配できます。

中村紙店でのお宝展示

 

 

 

 

◯庄分酢・高橋家住宅

300年余の歴史を持つ庄分酢では、通常は有料の酢蔵見学が無料えでき、藩境まつりの際は、店舗や日頃は入れない住居部分に代々伝わる宝物を展示していました。この時にお茶室として、庭をみながら抹茶と菓子を楽しめるふるまいもされていました。
体験内容はこちら

 

 

 

◯木下家蔵

日頃は閉じられている蔵は、のぞいてみると、有田焼や和の陶器やアンティーク雑貨、昭和レトロなグッズが並びます。その値ごろ感に、とても楽しいお買い物タイムが楽しめます。
藩境まつりのときは、2階に勇壮な兜が展示されていました。詳細やオープンの事前予約はこちら

 

 

◯宮崎建具

1927年創業の老舗の建具店。この店3代目の宮崎宏樹さんは、木を自在に操り、使いやすいデザインをモットーに、伝統的な建具だけでなく、カフェや豪華観光列車の内装まで手掛けています。常に新しいものづくりにチャレンジしながら、職人の技術を今に伝えています。
匠の技を体験できる木の小箱作り体験も行っています。藩境まつり当日は、木工で使う道具を展示。ここでかんなを体験させてもらったのですが、なかなかの難しさです。

 

 

 

◯光楽寺

日頃は入れないところがオープンになるのは、文化財だけではありません。藩境まつり当日は、通常は檀家しか入ることができないお寺もたっぷりと見学できます。
寛永元年(1624年)に旧柳河藩主の立花宗茂によって創建、弘化4年(1847年)に再建されたと伝えられている光楽寺では、本堂の天井になんと見事な、動物、植物、人物が描かれている板絵が163枚あります。ガイド付ツアーでは、見学ができるように調整します。

 

 

 


 

 

(2)歴史や文化を物語るイベント

このまちでは、たくさんの歴史のエピソードや昔から今に残るイベントが息づいています。

◯伊能忠敬隊

日本で始めての日本地図を作ったと言われる伊能忠敬。彼は50歳で隠居した後に、天文学や測量学を学び、全国各地に足を運んで地図を完成させています。ここ藩境のまちも、彼の「測量日記」に訪れた記録が残ります。藩境まつりでは異能忠敬隊が登場しています。

 

 

◯日吉神社船神輿曳き

そして第23回目になる藩境まつりは、後世に残る歴史的な神事がありました。
実に30数年ぶりに日吉神社船神輿曳きが4月20日に行われました。
榎津地区(久留米藩)日吉神社の船神輿が藩境を超え、初めて小保地区(柳川藩)を通り町並みを一周しました❗️ この実施に向けて、多くの人々が心血を注いできました。

 

 

 

◯花まつり・稚児行列

お釈迦様の誕生日を祝う「花まつり」も、藩境まつりで行われます。2025年は1日目の4月19日に開催されました。
国登録有形文化財に登録されている浄福寺に、仏像を安置する堂が置かれ、参拝者が甘茶をかけていきます。平安装束を身にまとい、参拝した子どもたちが、まちを練り歩く「稚児行列」も行われます。神聖な動物で、お釈迦様を運んできたとされる白い象も登場。子どもの健やかな成長、五穀豊穣などを祈る神事が大切に行われています。

 

 

◯旧吉原家住宅 「日本髪のかたち

藩境のまちのシンボルというべき国指定重要文化財の旧吉原家住宅で、結髪師のかのん氏、谷氏による日本髪の結い方実演が行われました。

旧吉原家住宅では、さまざまな伝統文化やアートを楽しむイベントが行われていますが、ため息が出るほど美しいとはこのことと思う時間でした。

実演の後は藩境のまちを練り歩き、古いまちなみがその次代にタイムスリップしたかのようでした。

 

 

(3)藩境まつりを支える人々

 

2000年 4月 第1回「肥後街道宿場を歩く」を実施したのを皮切りに、NPO法人小保・榎津はんざかいのまち保存会設立の動きにつながり、一方で現在の藩境まつりは、実行委員会によって開催されています。このまちに住んでいる人も、外からこのまちにひかれて支えてくれる人も一緒にこの4月の2日間を支えています。そんな熱い人々から生み出されるから、このまつりが魅力的なのだと思います。

 

藩境まつり実行委員会の事務局長・庄分酢 高橋清太朗さん

 

藩境まつり実行委員長の森田うるし店・森田徹さん

 

みなで協力して設営なども行う

 

 

 

案内所でもりあげます

 

みなさん いい笑顔

 

ボランティアとして藩境まつりを盛り上げてくれる大川看護福祉専門学校のみなさん

 

 

 

 

(4)体験や楽しいイベントいっぱいの藩境まつり

4月19日のオープニングでは、昨年に引き続き、和太鼓演奏と シャボン玉のパフォーマンスのコラボが開催されました。

 

4月19日の午前中に、大川小学校jのみなさんが、まちを歩いて、それからクイズに答えるという学習をしてくれました。

 

 

庄分酢の明治蔵では、アコーディオン演奏を開催。本当に楽しかったんです。

 

 

大川ならではの木工の体験、グッズなども販売されていました。

大川観光協会のみなさん

 

 

 

 

まるで藩境のまちのショーケースのような「藩境まつり」。この機会にもぜひ訪れてみてくださいね。

 

 

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